第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"
互いに向き合って駆ける部長、そしてボス
その位置がクロスしようかという時、部長が槍を起点に跳躍した
槍を地面に突き刺し、右へ跳躍した
直後、ボスの腕から放たれた冷気の壁が槍を凍らせる
だが、部長は先の跳躍で回避―少し離れた位置から一気に駆け出し、ボスの足下へ飛び込んだ
部長はブーストをかけた足を使って、ボスの前足を崩すように蹴り込んだ
膝カックン―非常に古典的な戦術はボスにも有効だったようで、ボスは体勢を崩した
部長はそれだけで手を緩めない
ボスの足下から飛び出して、跳躍―背中側からもう一度蹴り込む
体勢を崩した所に更に別のベクトルを加える
結果、ボスは身体を完全に倒す事となった
そして倒れたボスの先には、部長が地面に刺した槍
天を向いたそれは、見事ボスの肩口へ吸い込まれ、貫いていった
部長は離脱し、ストレージから新たな槍を取り出ていた
計算されたであろう挙動―ある種直感で動く私には出来ない真似だ
肩口を砕け散らせたボスはまたも反転し、空中へ
玉を出して、触手をこちらへ向かわせる
数は同じく六本、だが先程よりも速い
この間だけは防戦一方になってしまう
特に足の動かない私とそんな私を抱えるエリーは逃げざるを得ない
しかし、これで触手は三度目なのだ
流石に対処が出来るようになっていて、徹底的に逃げる者、武器や防具を犠牲にする者がおり、触手を喰らう者は一人もいなかった
再び地上に降り立ち、腕を復活させたボスは体表を赤くしている
これで五種類―いつまで、いや倒すまで続くのだろう