第14章 第21層～第30層 その1 "Trap"

突き刺した後､抉り､捩じ込むように剣を更に深く入れる
呆気なく砕け散らせた直後､下腹部にボスの腕―打撃を貰う

私の身体に接着したままの腕は離れること無く､空中の私を地面に叩き付けた
そこで漸く腕は私から離れるものの､一瞬飛んだ意識と身体に伝わる衝撃が私の身体を固定する

すぐに復活する視覚
目の前には色を橙に変えたボス
残った腕が光を放っている
仰向けのまま即座に後退―直後に弾丸が放たれた
今度はまるでクリスタルのようなものだ
一度に三発､それが高速で放たれる

だが､それは当たらなかった
放たれた位置に既に私はいない､後退済みだ
実質出鱈目な方向に放たれた弾丸は地面に当たって､跳ねた
それがどうしたとも思ったが､すぐさま撤回―むしろ寒気がした
立ち上がり､転がるように左へ方向転換
その場に先の弾丸が降り注いだ

跳弾―実際の弾丸で出来るかどうかも分からない芸当だが､それについてどうこう思う暇はない
私の真上に影―ボスが跳ねていた､しかもまた弾丸を放つつもりでいる

急ぎ後方に跳躍―回避を選んだが僅かに間に合わなかった
撃たれた―単純にそう感じたが､僅かに異なる結果であった
放たれたものは弾丸ではなく､壁のようなもの
私の身体―足辺りを通って消えた瞬間､両足が凍り始めたのである

その速度はあまりに急激で､私が空中にいる僅かな間に私の両足は凍り尽き､動かなくなる

｢―っ!ぐっ!｣

着地に失敗した衝撃と足全体を包む焼けるような痛み
私の視界の左上にあるHPバーには凍結を表すアイコンが表示されるが､私はそれよりもどう動くかを考えていた

足は動かない
ボスは私に迫ってくる
出来る事は―手を伸ばす
直後､伸ばした右手に何かが巻き付く
見なくても分かる―エリーのチャクラムだ
先程とは逆の関係になったのを感じながら仰向けに引っ張られる
凍りついた両足が地面と擦れ､痛みを与えるが気にしてはいられない
今はボスに迫られないようにするだけだった