第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"
ボスの腕は両方復活している
なるほど、このボスの流れが大体読めた
まずは肩を中心に攻撃、腕を両方剥がす―その次に触手
但し弾丸は異なる―それさえ分かれば地道になるが確実に倒せるだろう
対峙したボスは体表を紫に変化させている
新たな弾丸であろうが、腕を見ながら走れば問題はない
誰もがそう感じ、ボスへ向かおうと走り出した私達は突如、熱を感じた
熱波という程でもないが、確かに熱い
発生源は―やはりボス、その両腕だ
ゲーム内だというのに汗が流れるのを感じながら、それでもボスに向かう事を止めない
撃たれる前に潰そうという考えのプレイヤー達がボスへ攻撃を繰り出すと同時に、何かが炸裂した
それまでと逆のベクトルに飛ばされる複数人のプレイヤー
彼等の前面が黒焦げとなっていた
ボスの腕がこちらを向くのを感じ、急いで方向転換―正面に向いていたベクトルを右へ変える
直後、私の横を熱の塊が通る―弾丸だ
髪、いや皮膚が平気で燃え上がりそうな熱を発している弾丸は、まるでマグマのようだった
私に命中しなかった弾丸は空中で炸裂―危険な火の粉を撒き散らす
ボスは立て続けに弾丸を放ち、我々プレイヤー陣を近付けさせない
だが、炸裂はするものの私には避けられない弾丸じゃない
隙間を縫って、ボスへ向かう
今まさに噴火している火山に飛び込むような感覚だ
だが今は、それすら価値があるように思える
弾丸の合間を抜け、ボスの目の前に躍り出る
間髪入れず跳躍―右でも左でもどっちでも良い、身体が動いた方へ跳んでいく
案の定、近い方―今は、左の腕が私を向く
凄まじい熱気、焼け付くとはまさにこの事
だが、私とてこのまま突っ込むだけじゃない
目の前の、私を向いた腕を蹴る―無理矢理だが方向転換だ
狙いを逆に、右へ向けて、その先にある肩口目掛けて一気に剣を突き刺した