第13章 第11層～第20層 その5 "進撃"

シンジ先輩は深々と刺した曲刀をそのまま無造作に横から引き抜く
勢い余ってボスに背を向ける形となったが､シンジ先輩への反撃が来る前に動きがあった

ボスがシンジ先輩へ反撃をしようとする瞬間―シンジ先輩の顔の横を何かが飛び､またボスの胴に刺さった

｢全く､上手くやる奴だな｣

そうボヤいたシンジ先輩の視線の先―空中には部長
なるほど､先程触覚に止められた方の曲刀を投げたという事か

ボスの胴に入った二撃のお陰か私の剣を抑える力が弱まったのを感じる
これを逃す手はない―剣を抑える手を払ってまずは蹴る
次にブーストをかけて袈裟斬り―そして更に横に向かって蹴る

これでダメージと同時に､先手を取れる体勢が整った―そう思い駆け出そうかという時にボスが羽を羽ばたかせ､上に飛ぶ
そのまま跳ねるようにして､こちらへ迫って来た

｢んなろぉ!!｣

勢いの付いたボスの拳をブーストをかけた剣で抑える
さっきよりも勢いがあるせいか､私が僅かに押される―だが負けられぬと足を踏ん張り耐える

そんな私の顔の横を通って､後ろから槍がボスの顔に刺さった
視線を後ろに向けると､先程ニアと呼ばれていた少女がボスに槍を押し込んでいた

｢シモン､私達も―｣

｢あぁ。行くぞ､ニア｣

少女の声に呼応し､立ち上がるシモン
高速で回り出すドリルを構える彼を視界に捉えた私は無理矢理にボスを払って､後ろへ跳躍する
同時にニアが槍を引き抜き､同じように後ろへ跳躍

｢おおぉぉぉぉぉ!!｣

私とニア､二人が下がった空間に突撃するシモン
ボスの胴にドリルが入り､天井に突っ込んでいった