第13章 第11層~第20層 その5 "進撃"
その頃―
ホワイトハウス外部では乱戦が続いていた
エリー、ケンタ、キタン、ヨーコの四人が次々とホワイトハウスへ迫る敵を撃ち、貫き、切り裂き、払っていた
しかし、敵の数は減らない
それ所か、数だけ言うなら増えている
倒した数も、向かって来る数も
だがこちら倒れる訳にはいかない
倒れるという事はすなわちボスへ向かった一団を危険に晒すという事で、同時に自分達にも死の危険が襲いかかるという事だ
だから倒れる訳にはいかない―それだけを考えてエリーは矢を放ち続ける
弓で視界に捉えた敵をなるべく多く撃ち抜き、チャクラムで撃ち漏らしを削る
結果、彼女は縦横無尽に動き続ける事となっていた―尤も、それは彼女にとっては日常茶飯事なのだが
「全く…何をどう考えたらそんな動きをやろうだなんて思うのかしら」
エリーは着地の際に、後ろから聞こえるヨーコのボヤきに耳を傾けていた
このボヤきに対する正しい返答はしない
代わりにエリーはヨーコを僅かに視界に入れた
壁を背にし、遠くの敵が来る前に撃ち落とすスタイル
しかし、ヨーコが今扱っているのはボウガン―それも二挺だ
「…そっちも絶対普通じゃない」
わざと聞こえるかのようにボヤく
しかし、ヨーコの返答を聞く前に事態は動いた
何か―いや木材だ
木材の砕ける音が彼女らの背後から響いた
何だ―と誰かが口走る前に音の正体が現れる
ホワイトハウスの天井を突き破り、それでもまだ止まらないシモン
彼の持つドリルにボスが穿たれ、正面から彼に押されるように空中を滑って、滑って、滑って―エリー達の前、ホワイトハウス入り口前に周りの敵を吹き飛ばして、落下した
『グオォォォォ!!』
ボスの叫びも関係なしにドリルは回る
身体を貫通し、地面すら穿って抉って皹を入れ、巨大な亀裂としていく
「落ちろおぉぉぉぉぉ!!!」
シモンは叫びながら、ボスを蹴り込みドリルを引き抜く
蹴りの分だけ亀裂へボスは落ちて―すぐに視界から消えた