第13章 第11層~第20層 その5 "進撃"
駆け出したプレイヤー達が目指す先は一つ―ボスのいるホワイトハウスである
内部までの道は真っ直ぐ
しかし、そこすら障害がない訳ではない
脇に並ぶ草むらの影から突如、スクラッグが飛び出した
だが、やはりフィールドで出て来たものと同じなのか、私達の周りにいるプレイヤー達があっさりと倒していった
「もう嫌だぁ、こんな所ぉ!!」
声に振り向くと、倒した際に飛び散る敵の体液を被るまいと避けながら、ミヤが叫ぶのを見えた
正直同意したい―などと思っていると、またも倒された敵の体液がミヤへ飛び散る
それは割りと近い上、走ったままとなると自ら突っ込む事になるであろう位置であった
「ぁ…」
思わずミヤの口から僅かに声が漏れる
決してHPに響くダメージではないが、ミヤにとっては間違いなくダメージになる
被れば足が止まる事は必至―そうなるであろう精神的一撃
「わ、わ!」
だがそれは、彼女を引っ張る手によって回避された
彼女のすぐ隣のユウ―彼が引っ張ったのだろう手は、今だ離されていない
「全く君ってのは!!今は仕方ないから、ちゃんと僕の後ろにいるんだ!!」
ユウは走りながらそう言い、もう一度ミヤを引き寄せる
またもミヤにかかろうとしていた敵の体液を避ける為とは言え、結果として走りながら抱き留めるという器用な状態になった
ミヤは小さく頷いた後、特に口を開く事はなかったのだが、ユウの手を握ったまま離れる様子はなかった