第13章 第11層~第20層 その5 "進撃"
ボス戦にて見かける事は度々あったものの、タイミングや私達の都合で余り直接的に絡まなかった
しかし、見た感じ上手くやっていそうな雰囲気である
そんな彼の真上に突如、先程の球が出現した
何処か上空とかそんなレベルではないくらい、彼に近い位置で球は出現している
どう見ても避けられない位置
だが、それに対して誰よりも早いタイミングで動いた人物がいた―部長である
部長はさも、こうなるのを予見していたかのようで、球がシモンの真上に現れた時、既に空中に跳躍しており―
「全く…繰り返しネタは基本って言うけど…」
―素早く球に槍を刺し、ブーストをかけた足で槍を下から蹴り込む
蹴られた槍は球を切り裂くように抜け、シモンの上空で真っ二つとなり、彼の脇を通って砕け散った
「すまない、助かった」
「いやいや、第三層…だったっけ?あの時の恩を返しただけだよ」
部長の着地と同時にシモンが口を開き、二人の視線が軽く交わる
「ちゃんと話すのは久し振りか。どうだい、最近の調子は?」
「まぁ、皆で頑張ってるさ」
短い中にも強さを感じさせる
シモンの受け答えにそんなものを感じた
今や彼の率いる紅蓮団はギルドとしては二大巨頭というレベルにまで拡大している
その先頭を走る人物ともなると、流石に既に覚悟は出来ているという事だろうか
彼等の奥―ホワイトハウスでは、ボスが内部に入ったようで屋上から姿を消していた