第13章 第11層～第20層 その5 "進撃"

相変わらずボスは飛んでいる
だが､そういうのに対しては､跳べば良い筈だ

空中のボスから放たれた火球が着く前に､跳躍―
下に爆風と瓦礫が飛ぶのを感じる

｢私は荒っぽいけど､許して頂戴｣

突如､真後ろから声
何か反応をする前に私の首元―襟を掴まれる

一瞬苦しくなる喉
反転する視界で捉えたのは､私の首元を掴むネリーの腕にブーストがかけられているエフェクト
そして―

｢行……け!!｣

―無造作に投げられる
またも回転する視界
しかし､目標は絶対に見失わない

火球を放つボスの顎を越え､首にどうにか剣を突き立て減速
同時に上下左右ランダムに震動―ボスが私を落とそうと身体を動かすが､今度ばかりは落ちる訳にはいかない
突き立てた剣とブーストした手足を頼りに耐えようとする

だが今度は剣が抜けてしまった
身体のバランスが一気に崩れ､またも私の身体は宙を舞う

｢でも大丈夫よ。その代わり､こっちは真っ直ぐ攻撃出来るもの｣

ボスの頭の方から声が響く
視線を向けた先―ボスの頭の目の前にネリーの姿があった

一瞬危険だとも思ったがすぐに考えを改めた
私自身は耐える事で必死だったが､周りからしてみれば､その間火球が来る事がなかった―つまり､安全に頭を攻撃出来る

ネリーはそのままブーストをかけ､ボスの鼻先に自らの武器を突き刺した

戦慄くボス
しかしまだ終わっていない
ならば終わらせる

空中に投げ出されたものの､完全にボスから離れた訳ではない
むしろ―頭が近い
私も空中にいながらにブーストをかけ直す
そして後は､重力任せに――刺す

落ちた先はボスの脳天
深く入った剣にボスは戦慄き､再び暴れるが､すぐに力尽き―砕け散った




元の意匠に戻る空間
実質空中から降りる事になった私の前に､ネリーの姿があった

｢さて､私は先に行くわ。私の事を知りたいのなら､さっきの事を守りなさい…それじゃ｣

それだけ言ってネリーは踵を返して進んでいった

彼女の在り方
その理由を知る為―彼女に届く為､生きなければならない


そんな感覚を感じながら､十九層はクリアされたのである