第13章 第11層~第20層 その5 "進撃"
二十層―
この層の中心に据えられた街"センターシティ"は、実にアメリカであった
住宅や商業施設が並んでいながらも、詰め込んだ感じはさせない
区画が整理された―整った街だ
だが、そんな見た目の美しい街にも裏は存在する
フィールドはそういう事を言いたげな雰囲気であった
街を出た先に待ち受けるは地下の世界
まるで街の下にある隠された混沌を表したかのような、下水道がフィールドであった
私達―現代の日本人は作業員でもない限り、こんな所に踏み込まないし、そも汚い場所を敬遠する傾向にある
故にいるだけで非常に気分が悪い
黴と埃と暗がりでも分かる黒く変色した壁に、何とも言えない灰色チックな水
探索後に手洗いうがいと風呂で身体を洗うのを徹底的にやりたいと思うくらいだ
そしてもう一つ問題がある―出現する敵だ
先も述べたように、非常に汚いフィールドである
所謂、毒状態に注意するのは当然なのだが…それ以上に敵の見た目が問題だった
汚い場所である上に基本的にゲームで登場するサイズだ
人間大のネズミだとかクモだとか…まぁ、その辺りはまだマシだった
最大の敵として「アレ」がいた事である
"スクラッグ"と名付けられたそれは、当然の如く人間大のサイズである
殻を持った茶色の虫、見れば分かる長さの触覚―一匹見かければ三十はいると言われる"G"
が頭文字のアレである
一匹一匹は強くないが、一匹見かければ大体平均で四匹は後ろに控えており、多対多を強制させられる
げんなりする所か、会いたくなかった類である
しかも、倒せば砕け散る前に体液をばら蒔く
物理的なダメージにはならないが、精神的には確実にダメージが入っているだろう
故に、特にミヤが―
「嫌だぁ!バルサン…バルサァァン!!」
「…それはダニだって」
―と、取り乱す場面を多くしていた