第13章 第11層~第20層 その5 "進撃"
問い掛けに対してネリーは疑問の顔しかしていなかった
いやまぁ…当然だろう
自業自得とはまさにこの事だが、一度出た物を無かった事には出来ない
走りながら嘆息するネリーを見ながら、私は答えを待った
「………別に、ただの気紛れと自己満足よ。こういう事やってれば、出張らなくても人より上に立ててる気がするでしょ?」
思いの外、あっさりと答えられた答え
ネリーは私が口を開く前に、更に言葉を続けた
「細かく言うつもりはないわ。まぁでも、生きて現実に帰れたら、その先も教えてあげない事もないわね。それまでは、我慢なさい」
それだけ言ってネリーはこれ以上続ける気はないという雰囲気を前面に出した
それもそうだ
簡単に知れるとは思ってないし、何より今はボス戦だ
下手をすれば私が死ぬ
ネリーの雰囲気を感じ取った私は、ネリーから手を離し反転―改めて構える
相変わらずボスは飛翔し、火球を放っている
「じゃあ…お互い、生きて帰らないと駄目ですね」
だが、負けられない
負ける訳にはいかない
お互い、一度知り合ったのだ
そんな人が死ぬのなんて、見たくない
「まぁ、そういう事ね」
同意するようにネリーも構える
互いの瞳はもう一度、ボスを見据えた