第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
ただ、周りは読める日本語であるかそうでないか、という点には着目していないようだ
ボスの情報―それを自分達に与えたのがテスターであるという点に思う所があるようだ
私もその例から漏れてはいないが、精々どんな人物だろうか…という程度である
テスターという言葉自体には露骨に反応はしないし、その際に敵意は出さない
「ボスの名前はイルファング・ザ・コボルドキング。片手斧と楯を装備した野郎だ。基本的に脳筋らしいが、速度も侮れないらしい。ステージギミックもねぇみたいだし、その辺をどうにかすりゃ何とかなる…心配すんな!!お前らはお前らを信じろ!!出来ねぇってなら、俺を信じろ!!」
再度思う
暑苦しい―だが、その暑苦しさに惹かれる人は多いようだ
私は引くが
「やりあう時にゃ幾つかの部隊に分かれて、その部隊を攻撃班、防御サポート班、休み班の三つのパターンで交代で回す。そうすりゃ死ぬ確率はより低くなるからな」
なるほど、実に効率的だ
確かにこれならば、死亡する確率は低いだろう
しかし、一つ気になる事もあった
それはボス情報の書かれた羊皮紙の下部分―そこに「あくまでこれは、試作版でのデータである」と書かれている
それも、そこそこしっかりと
……いや、今そこを心配しても仕方ない
推測した所で当たりには近付かないのだから