第13章 第11層~第20層 その5 "進撃"
何が何だかよく分からない内に、力が加わるのを感じる
それは私にかかっているが、ボスのものではない
もっと違う―別の力
「ぐっ―ぬぅぅおおぉぉ!!」
潰れる訳にはいかない
足腰を踏ん張り、体勢を維持
直後、僅かだが尻尾にヒビのエフェクトが入る
腕に力を入れ、押すように耐えるとヒビのエフェクトが広がり―尻尾が真っ二つに砕けた
腕にかけた力が方向を失うのを感じると同時に、上空にいた声の正体が私の隣に降り立つ
ウェーブのかかった髪を軽く払う彼女―ネリーであった
なんというか…珍しい
彼女がボス戦にいるとは思わなかった
確かに第六層までは彼女発信の試作版情報が頼みであったし、今でも彼女の所に集まった情報を頼りにする事もある
だが彼女自身がこのように身を張るという事はあまり聞かない
「何?私がこういう所にいるのが物珍しいかしら?」
「あ、いや…そういう訳じゃ―」
「別に良いのよ、素直に言って。まぁ、私がここにいるのはちょっとした興味よ。試作版から大分離れた今、制作側がどんなのを造ったか見てみたいだけ」
一気に物を言われ、少々たじろぐがネリーがボスを見ているのに気付き視線を向ける
尻尾を斬られたボスは首だけをこちらに向け、狙いを付けている
「伐つわよ」
短く口を開いたネリーは構える
その手にあるのに私は少々の疑問と驚きを得る
それは剣…だろうか
腕に装着するように持っているそれは、普通の剣より太く、厚い
まるで強靭な板とか、何かの歯を付けたとかそういう類いに見える
いや、疑問は後だ
今はボスに向かわないと