第13章 第11層~第20層 その5 "進撃"
既に戦闘は始まっている
そう言うが如く、直後に左の頭が私達に向かう
全員左右に跳躍して回避―分断はされたがまだ問題ではない
次に私が回避した左側―そちらへ跳躍したプレイヤーに向けて右の頭が火球を放つ
前方に走って回避―後ろで床が抉れ、瓦礫となって飛んでいるのを耳にする
ちらと視線を反対側に向けると、そちらには先程私達を分断した氷塊が飛んでいるのを見る
成る程、二つの頭はそれぞれ火と氷
ベタな奴だと思わざるを得ない
半分に分断されたとはいえ、攻撃に転じる事は可能だ
むしろ前後から挟む―そんな動きと読める
敵もそれを察知したのか、二股に分かれた尻尾を振り回して後ろに向かった部隊を牽制してくる
正面から薙ぐように振るわれた尻尾―私はそれをブリッジのように身体を反らして回避
だからといって二本目が来ない訳ではない
恐らく来るだろうと考えた私は、そのまま後方に倒立を含めた回転
だが、何も来ない
体勢を直すと同時に視線を向けると二本目の尻尾が何かに抑えられていた
光を僅かに反射する糸―エリーのチャクラムだと即座に察する
だがそれは数で言うならば一本のみ
残りの一本の尻尾が振るわれる
私の所ではない―しかし風圧と瓦礫が僅かに視界を制限する
直後、私の上空に影
敵の攻撃か取り巻きかとも思ったが、答えはもっと単純であった
チャクラムの糸を巻き取り、滑空するエリーであった
エリーはそのまま空中で身体を反転―自由に暴れる方の尻尾に連続で矢を射る
尻尾がそれで止まる訳ではない―だが、怯みという隙が生まれる
狙うは根元
ブーストをかけて跳躍―落下の重力も合わせて、尻尾に剣を刺した