第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
そのまま壁に到達したリリィはもう一度壁を蹴って反転
その姿はまさに縦横無尽
彼女の持っているスピードが更に彼女自身をピンボール球のように思わせる
「…カハッ。ククククハハハハ!」
それを見て追えているトンファー使いの少年は攻撃もせずに笑い出す
まるで最高だと言うがように目の前のものに対して口を開いた
「いい!いい!!流石……俺と同じ事を、するゥ!!」
そして彼もリリィと同じようにボスの手から跳ねた
しかし彼は殴る事で跳ねており、そこが二者の決定的な違いであるとエリーは瞬時に理解した
そうでありながら彼も加速している
その速度はリリィ程ではないが、一撃は確実に彼女より高い
彼女の速度とも合わせてボスの抵抗を許さない
五十程壁や床を蹴っただろうか
リリィはこの場所に入った時のように着地―剣を使って勢いを殺しエリーの元で止まる
それは確実にボスの頸を取る為
次の一撃で終わらせて、先へ進む為である
トンファー使いの少年も彼女と対称の位地に着く
凍りついた床に自らの爪と指を突立てて、減速する
それは次で仕留めるという宣言
最後の一撃の前に一度距離を取るという彼なりのロマンを満たす為である