第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
壁に突き刺さるは剣
直後、エリーの頭上を白い人影が高速で飛んでいく
それ―彼女は壁に刺さった剣を使って制止
次の瞬間にはまた飛んでいた
真っ直ぐ飛びながら、近寄った残りの取り巻きを切り捨てる
そのまま空中で身体の向きを変え、ボスと対峙する向きになりながら着地
自身の剣を地に突き刺し、後方への勢いを殺してエリーの隣で止まる
「お待たせ、エリー」
エリーに顔を向ける彼女―それはリリィ
周りの氷のせいか一際白さが目立つ彼女は、先の行動の勢いで顕となった部分をもう一度フードで覆う
彼女がいるだけで力が湧いてくる
エリーは自身に感じたものに確信を持っていた
「あぁあぁあぁ!!来たじゃん、いるじゃん、やっとじゃん!!」
先のリリィの動きを追ったトンファー使いの少年が待ちかねたかのような興奮を顕にする
だが、リリィとエリーの二人はまるで聞こえなかったかのようにボスへ構える
「足、やるよ」
「うん、お願い」
短い応答でリリィは脚に力を込める
光を纏った足で彼女は思いっ切り凍りついた床を蹴り―跳ねた
ボスの足へ矢を射かけながらなるほどとエリーは感じる
リリィの今の動作―氷と化した床や壁を蹴って跳ねる
突飛だが、可能だ
リリィは勢いをそのままにトンファー使いの少年が乗っている方のボスの腕を斬りつける
揺らいだ腕の上で彼がバランスを取っているのも気にせず、壁を蹴って方向転換―斜めにもう一度壁を蹴り、ボスへ向き直り―
「っあ゙!!」
―ボスの顔へ蹴り
衝撃がボスの顔を歪ませ、強制的に首を横へ回させた