第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
正直、面倒臭い―とエリーは感じる
ボスはともかく、あの少年は御免被る
それにやろうと思えば彼一人でも何とかなるだろう
彼女はそう判断していた
だが、取り巻きの敵はエリーに向かっていく
これなら先行しなくても良かった―溜め息と共にそう漏らしたいのを我慢して、矢を射る
向かってくる取り巻きはエリーにとって、そう苦戦する敵ではない
全てを正確に射抜く
貫通した矢が凍った壁に刺さり、ヒビを入れる
「あ?」
そこまできて漸くトンファー使いの少年がエリーの方を向いた
こっち見んな―彼に対してはリリィもこう感じているのだろうかとエリーは思いながら無視を決め込む
「なんだ違うのか。じゃあいいか」
彼も彼で目的と違うと理解したのか、すぐに攻撃を再開
彼が勝手にやるから、本当にこのまま何もしなくても良いだろう―ついでに彼の能力を見ておくのも悪くない
そう決断したエリーは構えを崩し、トンファー使いの少年を中心に状況の観察に入る
扱う武器故に自ずと近距離攻撃が中心となる
だがそれ以上に、彼の戦いには彼の本能のようなものを感じさせる
故にエリーは疑問に思う―何故そんな構造になったと
浮かんだ疑問の答えを見つけようと観察を再開した時、またも取り巻きが三体現れた
此度のそれはエリーにではなく、トンファー使いの少年に向かっていく
あの程度、彼の敵ではない
故にエリーは軽く構えるだけに留めようとした
その時、彼女の後方から何かが飛来し、取り巻きの一体を貫いた