第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
しかし、それでも戦いには赴かなくてはならない
一層迷宮区最上に、ボス部屋と思われる部屋への扉を誰かが発見した
クリアの為にはボスを倒さなくてはならない
しかし、何も準備のないまま挑むのは死に等しい
故に、一層始まりの街西側の広場にてどのように挑み、どのように倒すかの会議が行われる
古代ローマだかギリシャだかの半円形演劇用舞台に似せた広場―その客席部分に私達七人は座っている
周りはざっと4、50人くらいだろうか
正直、正確な数を数えるのは面倒だ
しかし、そのいずれもボスという存在に対しての緊張感に溢れていた
まぁ、私達もその例から漏れてはいないのだが…
日が高いのが影の具合で分かる―予告された時刻だ
改めて、舞台を見ると一人の男が上がっていた
堂々というよりかは尊大にも見える歩き方
羽織った上着の下は何故か、サラシ―時代劇等で腹から胸にかけて布を巻き付けて覆うアレ―を着ていた
見ていて何か嫌だ
私がそんな格好を出来ないからだろう
する気もないが
そして、最大の疑問点―髪が青い
三回位自身の目を疑ったが何度見ても青い―地毛なのだろうか、私と同じ色彩異常だとしたら随分自信を持っているか、馬鹿の二択だろう
「…アレね、何か髪色だけは専用の店で変えられるみたいでさ。多分それだよ」
ミヤが耳打ちをしてくる
内容を聞いた私は、一瞬呆けてしまった
そうか、大体のプレイヤーはむしろ違う色の髪に憧れがあるのか
藤井氏は人々の需要をよく理解していると言えるかもしれない
ただ、だからと言って私は現状を変えるつもりはない
少なくとも今、そんな暇はない
溜め息で気持ちを整える
さぁ、そんな余裕のある男の話を聞こうじゃないか