第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
それから数日に渡って、私達七人はレベルアップやスキルの上達に励んだ
クエストやネームドと呼ばれる強モンスターの相手をこなしたり、ひたすらにその辺の敵を倒したりと戦いの技術を磨いていった
結果、油断せずに且つ戦術を誤らなければ、私達は多少の無茶は出来るようになっていた
このような日々を送っていたと同時、周囲でも少し動きがあった
それは「テスター」と呼ばれるようになったプレイヤーの存在である
端的に言うなら、試作版をプレイしたごく少数のプレイヤーの事である
彼等は一般のプレイヤーよりも戦う技術を身体で理解し、何処にどのアイテムがあり、どのクエストが良いクエストかを知っている
私達の周りで言うなら部長がそうだ
部長のお陰で、私達は七人という現状にしては大所帯でありながら、上手く上達出来ている
これだけ言うと大きな戦力となる存在なのだが、彼等の多くにはある問題があった
現状、テスターは一般プレイヤーよりも多くの情報を持っている
故に、生き残ろうと決めたテスターの殆どが一人で行動、貴重なアイテムを既に獲得してしまったり、良い報酬のクエストを誰にも知らせずやっていたりする
一般プレイヤーからすれば、ここが問題なのだ
HPが無くなれば死ぬのは同じ
ならば何故、より生き残れる道を皆で共有しないのか
レアアイテムや良クエスト情報の実質的占有が不公平感を呼び、批判を起こし、一丸とならなければならない人々は早速、互いでいがみ合う図を作っていた