第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
そのいずれはすぐに来た
改めてボス部屋へ入る扉に私達オリジナルセブンを含めた多くのプレイヤーが集まっている
結局ネリーはここが九層の続きという事を公表してはいないが、私としては恐らく、皆が自然にそれに気付くだろうと考え、特に言う真似はしなかった
開く扉、進み始める人々―
その先から射し込む光は妙に明るい
手とフードで顔を覆いながら進んだ先に見えた景色
それは―電車だった
正確には電車の内部だ
私達の通った扉は消え、乗務員室に変わる
光の正体は電車内部を照らすLEDであったようだ
とは言えこの電車、やはりこのゲーム内部のものなのか多量の人が集まってもまだ余裕な程太い
現実では絶対に有り得ないだろう
周りを見てボスが何処から来るか警戒する
一度光が右斜め前に見えたが、所謂対向列車であった
その際、外がちらりと見える
夜の海を思わせる黒い揺らぎ
その上にある列車用のコンクリート
ただその中には、電車の線路というものは存在しておらず、真ん中にコンクリートの突起が一連なりに続いている
あぁそうか
ボスに直接関わる訳ではないが、ここは電車ではなくモノレールだったのか
関係無い状況を理解し、改めて頭を切り替えようとした私の後ろから声が響いた
「モノレールに、もう乗れーるってな」
能天気で極めてつまらない親父ギャグ
そして、二度と聞きたくない声
聞こえてしまった瞬間に私はその存在に溜め息を吐かざるを得なかった
あのトンファー男がいる