第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
「あの…それで何か分かった事とか…」
探索中―
地図データを見ながら歩くネリーに私はおずおずと話しかける
「あるけど全て憶測の域を出ないわ。だから確信するまでは無理よ。せめて、あともう一つ同じ作りの層があれば話は楽だったのたけれど」
とは言うものの、ネリーに口惜しさは感じない
というか、彼女にはそういう揺らぎがあるのだろうか
彼女―ネリーには世界がどれだけ進んでも個であるというか…徹底してブレないという雰囲気がある
それが若干の話し掛け辛さを生み出してはいるのだが…
まぁそこはともかく、この雰囲気故に彼女には何らかの説得力が生まれている
同時に気にはなっている
彼女はこのゲームが本格的にスタートした直後から、こういう活動を一人でやっている訳だが…何故、これに至ったのだろう
聞いてしまって良いのだろうかと躊躇う私と、彼女の纏う雰囲気が私に行動をさせない
そうこうしてる内に視界が見慣れたものになる
薄暗い中だがそうだと分かる一本道
この先がボス部屋か
長いような短いような、そんな道の先にやはり扉があった
そして扉には最早当然と言えるようにヒントの絵が描かれている
黒を基調にした人―女性の横顔の絵だ
白の線で縁取られたそれは、中世だかの古い時代にあった背の高い帽子を被っている
その帽子に「B」、女性の目元に「J」と書かれている…どういう意味だろうか
もう一つ特徴として、絵全体の下に「Ⅱ」と書かれている
これは…一体…
「あぁ、そういう事だったの」
悩み始めた私の横、ネリーが何か納得したような声を上げた