第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
「いいえ、必ず何らかの意味がある筈よ」
「うわっ!!」
そんなあくる日―
迷宮区を探索中の私達の後ろから突如響く声に私は驚かされた
阿呆な声を上げながら、振り向いた先にはウェーブの髪をを結った女性―ネリーがいた
「やぁ、相変わらず元気みたいだな」
私とは逆に全く驚かない部長
何故今ので驚かずにいられたと疑問を投げ掛けたかったが、その衝動をぐっと堪える事にした
「で、何らかの意味がある筈ってどういう事かな?」
続けざまに紡がれる部長の言葉
さも当たり前の世間話であるかのように、ネリーもその後を口にした
「"この層"について、皆疑問に思っている筈でしょう?だから親切にも調べてあげようというのよ、足を使ってね」
この層―それの意味する所は明白だ
この十八層の中心となる街が九層と同じという程、似通っている事
これまで、そして恐らくこれからもこのゲームの情報を掴み、拡散するネリーには疑問を解消するのも、必要な事なのだろう
「興味も入ってるんだろう?」
「まぁ、そうでもあるけど」
恐らくそれを承知の上で、冗談混じりに出される部長の言にネリーは軽く笑いながら返した
その後も私達は迷宮区を探索
共に探索しているネリーの情報もあいまって、僅かながら捗りを見せた
ネリーはどうやら私達オリジナルセブンのような、"情報提供先"がちゃんと生きているかどうかたまに確認しにいくらしい
逆を言うなら、ネリーの知る中ではちゃんと生きる事が出来なかったプレイヤーがいるという事だ
ちゃんと生きる事が出来なかった―どういう意味だろうか
いや、深く考えなくとも答えは二択に落ち着く
HPが無くなり死んでしまったか、まともな精神状態ではなくなったかだ
どちらも惨い
この世界が引き起こしたものだ
現実よりも遥かに死に近いこの世界と、現実の私達がそんなにも死から遠いと感じているのだと再認識させられる