第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
十八層―
中心となる街、テベルに辿り着いた私達に待っていたのは既知感―何処かで見たような光景だった
海沿いにある現代風の街並み
街の端から端までモノレールが通っていて、移動には便利
多数の商業施設があって―というような特徴を見ている間に私達は理解した
この街は第九層の中心にあった街、イワトと全く作りが同じなのだ
しいて違う点を上げるなら、前は特に季節感も何もなかった
しかし、この層は散りかけの桜が常時舞っている
そよ風が花弁を更に飛ばし、地面の大概が桜色に染まっていた―尤も、僅かばかりに緑も見えているが
ともかく、この層についてから大きく持ち上がった話題は"何故同じ作りなのか"である
試作版を含め、スタート時から極めて精巧な造りとなっているこのゲーム
ある種の拘りすら感じさせるものなのに、何故若干の季節感を付けただけにしたのだろうか
この問題、私達オリジナルセブンも一時は考えた
何か意味があるという意見、製作陣が面倒がったという意見、製作陣の中でもうネタが無くなっていたという意見…様々な考えが出たが、これと言った答えには至らなかった
結果私達は解答を出さない、考えるのを止めるという所に落ち着いた
一々考えるよりか、クリアに集中しようという事だ
私達オリジナルセブンだけではない―多くのプレイヤーやギルドが次第に意味を考えなくなっていった