第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
扉を抜けた先―景色は暗かった
一応光はあるが、それも紫色である為暗い場所である事を認知せざるを得なかった
私達の前方に真っ直ぐ広がる部屋は、まるで玉座があるような部屋である
だが、そんな考えは奇妙な音によって書き換えられた
甲高い―機械が稼働するような音
(いる…)
暗がりの向こうの存在
暗さに慣れた私の目が、その姿を捉えた
所謂機械音を立てる敵
その姿は完全な球体であり、正面の壁に張り付いている
現れるHPバー、記された名は"Slench Turret"―スレンチタレット、だろうか
細かく判断がつかない
ともかく敵は壁で回転する度に機械音を立てている
まるで様子を伺っているようだ、とも思えたがそれはすぐに終わった
突如ボス―球体の姿、その私達から見て真正面の中心点らしき位置から、殻の様なものが、剥けた
内部も球体状であるが、剥け始めた中心点が緑に輝いている
何をするのか―いや、答えは明白だ
中心点が光り、光の弾丸が私達に向かって飛んできていた
「っ!!」
横に跳び、弾丸を避ける
幸い弾丸は誰に当たる事無く壁で消失した
だが飛び道具となると…
「大丈夫、こっちも飛び道具」
距離の取り辛さに面倒を感じた時、後ろからエリーが躍り出る
彼女はそのまま矢を放った
真っ直ぐに放たれた矢
砲口代わりともなっているボスの中心点に吸い込まれたそれは突如閉じた殻に防がれた
矢を防いだボスはまた直後に殻を開き、高速で向きをエリーに合わせ、先程よりも速く、多くの弾丸を発射した