第11章 第11層~第20層 その3 "事案"
勝ったには勝った
しかし、結局ウェンドロの思惑は読めなかった
正直それどころではなかったし、彼も彼で妙な態度を崩さなかった
アレが仮に彼の戦闘時の状態だとしても、この戦いには疑問が残る
結局、何がしたかったのか
それがいまいち分からず、私はすぐに動けなかった
しかし、一向に起き上がらず俯せでいるウェンドロを見て不安になる
どうしたのだろうか
壁に当たった際に気絶してしまったのかと妙な不安感に襲われた私は、ウェンドロの元へと歩く
時折、彼に刺された腹が"気を付けろ"とばかりに痛むがそれを抑えて彼の所に辿り着く
「ねぇ、ちょっと…大丈夫?」
恐る恐る彼の肩を揺らす
暫くかかるものかと思ったが、彼はすぐにゆっくりと頭を上げた
本当に意識が飛んでいたのか、それは定かではないがともかく彼の反応があった事にとりあえず安堵する
「結構、派手にぶつかったみたいだけど…大丈夫?」
ウェンドロは私の問いに対し、私をしっかりと見つめた後、ゆっくり口を開いた
「大丈夫ですよ。だって…ここからが、本番じゃないですか」
本番―何の事だ?
そう思った瞬間、ウェンドロが私に体当たりをしてきた
疲れや痛みも相まって、簡単に仰向けに倒れた私の上に彼は乗り、一切の容赦無く両手で私の首を絞め始めたのである