第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
懐かしい気分だ
いつ以来だろうか、思い出したくもない
そうだ
幼少期だか児童期だかの、奇異の目や声に堪えられなくなりそうだった時以来だ
あの時は黙して、隠して、泣くしかなかった
だが、少なくともこの世界は違う
存在する脅威に対して、払う剣がある
私を終わりに導く死神を、切り裂く剣がある
ならば私は、それを用いて戦うのみ
終わりなんて嫌だ、死ぬのなんて嫌だ
だから私は戦ってやる
もしかしたらそれが、皆も死ななくなる方法かもしれない
流石にそれは思い上がりだろうが、今はその理屈という流れを感じられただけ、マシになったのだろう
よし、方針は決まった
部長の言った集合時間まではまだ多少はあるが、早めに動いてしまおう
そう思った私は、また走り出した
走りながら、これからを少しだけ考える
戦いはこれからの経験と皆との連携次第
ただ、私にはどうしても必要なものがある
剣ではない、盾でもない
アルビノである私が現実において必要なもの
非常に単純で、非常に重要なもの
着いた先は昨日少し寄った複合商業施設
多くの店が集中してるせいか、人はさっきよりも多く見える
しかし、今度は迷わず目的の店へ―
防具を売っているその店で私は迷い無く、フード付きの外套を買った