第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
街は賑わっている
しかし、それは緊張感を伴う賑わいである
部長のように戦う選択をした人がああでもない、こうでもないと店に通っている
ならば、戦わない選択をした人は…何処にいるんだろう
もしかしたら、戦わない選択をした人も賑わいの中にいるかもしれない
…では、私はどうだろうか
皆の前からは、一人で考えたいと言って走り出してしまったが…これで良かったのだろうか
何かを決めるつもりで、走ったのではないのだろうか
(多分…違う…)
あんな風にあっさり皆が決めていってしまうから、何か恐ろしくなって、考えたいなんて言って逃げたいのではなかろうか
では、その先にあるのは…選択であろうか
(多分…違う…)
選択ではないだろう
流されたと言って良い
それでは恐らく、すぐに死んでしまう
――死んでしまう
胸にこの言葉が刺さり、冷や汗が垂れる
死ぬ姿は想像出来ない―というか想像したくない
だって…死んだら全部終わりだから
終わり…だから…
(終わりに、したくない…この世界で終わりたくない)
生まれた欲―育つのは、今の気持ちという願い
ここで、死にたくない