第11章 第11層~第20層 その3 "事案"
それからというもの、特にこれと言った会話も無く、私達は皆を探していた
しかし、私達が迷ったのか、クエストボスが暴れたのに巻き込まれたのか、皆の姿は見付けられなかった
だが、露骨に落胆した所で意味はない
諦めずに地道に探す他ないだろう、という事で施設内の別エリアをしらみ潰しに歩こうという時だった
「あの―」
それまで黙っている率が高かったウェンドロが、口を開いたのである
「お願いがあります」
視線を向けた先―彼は何か重大な決断をしようとしているような顔をしている
「えっと…何、かな?」
こんな顔をしている人の願いとは何なのか
逆に気になってしまい、聞く私
返答として出た彼の言葉は、私にとっては意外なものだった
「僕と…デュエルで戦ってくれますか?」
「……デュエ、ル?」
思わず聞き返した言葉は全く聞き慣れない言葉であった
「はい、プレイヤー同士による一対一の決闘です」
ウェンドロの説明で漸く記憶から「デュエル」という言葉を聞いた記憶が現れる
そう言えば、この世界に囚われる前に部長が一回だけ言っていた
プレイヤー同士の戦い、機会があればやってみようと
だが、直後にこの世界がデスゲームと化し、少なくともオリジナルセブンの間では話題にならなかった
尤も、話題に出たとしても双方危険に陥るという事で全くやらないだろうが
「残りHP半分で決着となるモードにしますので、勿論お互い危険にはしません」
だから安心して下さい
そう言いたげなウェンドロに対して、私の中に何故、と疑問が徐々に沸き立ち始めていた