第11章 第11層~第20層 その3 "事案"
暫く何もしないでいる内に身体の感覚が元に戻る
体力も戻っている
今なら動けそうだ―そう考えた私は皆と合流する為に、立ち上がる
動く前に周りを見回す
今現在、一人となっている私にとって"敵"にカテゴライズされるもの達は危険でしかない
例え一体だとしても、慎重にいかなくてはならないだろう
周りには瓦礫が散っているが、壊れた壁に相当しそうなのは左右の二ヵ所しかない
それが敵の撃ち破った壁だとするなら、どちらかが当たりだ―少なくとも離された地点までは戻れるだろう
ではそれはどちらだろうか
地図も踏まえて見当を付けようとした時―左の壁の向こうで音がした
瓦礫が踏まれた時にするような、硬い音
何かと思い、剣をいつでも抜ける体勢にする
何が来るのか―警戒の中、姿を現したのは…
「あ、どうも」
金髪の少年プレイヤー―ウェンドロであった
意外すぎる邂逅にこちらも呆気に取られてしまい、軽く会釈しか出来なかった
しかし偶然とは言え、まだ安全なプレイヤーで良かった
「こんな所で、どうされたんですか?他の方達は?」
そう言いながら、近付いてくる彼に対し、私は楽な体勢に直して答える
「敵にちょっとやられて、皆とはぐれちゃって…だから、探して合流しようかなって」
そう言うと、ウェンドロは「だったら―」と言いながら口を開いた
「二人で他の皆さんを探しませんか?」