第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
「さて、三人はどうする?流石に女性だけっていうのも何だかな…って具合がするし、皆さえ良ければ着いて行くけど…」
ユウが最後まで残ったのは私達がどうするかを聞いてから動きたかった、という訳である
要はVRMMOにありがちなナンパだとかを密かにユウは懸念していたという訳だ
しかも、現状WBOは間違いなく自身の真の姿が晒され、全てのプレイヤーが命の危機となっている
だからこそ、自棄になって迫ってくる輩がいるかもしれない…しかし―
「……ごめん、今は…もう少し一人で考えたい、かな」
―私は断っていた
何故かは分からないが、とにかく一旦一人になりたかった
「そうか。エリーは?」
「一人で何とかなるからいらない」
こちらは即答である
既に答えを決めているのだろうか
この短時間で決めていたなら、大した精神力だ
「じゃ、これで」
そういうとエリーもまた、先の三人とは違う方向へ―人込みに消えていった
「…ごめんミヤ」
「いいよいいよ」
ここまで言ったところで、二人とも言葉を詰まらせる
口が回らない代わりに、足を動かし二人から離れる
「会える…よね?」
「早くて、30分後にね」
それを最後に私は走り出した
二人を、友人を置いていく事への罪悪感から振り向くまいと決めて―全力で走った
走って、走って走って走って―人込みに完全に紛れた所で振り向く
当然、そこには私しかいなかった