第11章 第11層~第20層 その3 "事案"
聞こえた言葉から、私の脳はこの男に関する記憶と共に、ある一つの答えを出した
(やっぱりコイツ…殺す気だ…)
ここ最近増えてきたPK
その全てがこの男ではないだろうが、PKが増加した一因ではありそうだ
面白そうと言って目を付けたプレイヤーを殺していく
容易に想像の付く光景だ
だとするならば渡す訳にはいかない
人殺しに人を渡す真似は、絶対にしない
そう感じると、身体に、静かに力が入る
剣はまだ抜かない―しかし、何があっても対応出来るように、しっかりと彼を見据える
(どう来る…何をする…?)
警戒心を最大限に高めながら、緊張の中にいると―突如、全く予想だにしていない事態になった
何か生き物の声が聞こえた直後―天井を破って、大きな影が落ちてきたのである
思わず後ろへ跳躍―巻き上がる砂埃から目を守った後、何が来たのかと目を向ける
黄色の体表、甲虫のような鎧を持ちながら、蜥蜴を思わせる顔―アスタークだ
フィールド内を放浪しているという事だったが、まさか自らやって来るとは…しかも、三体纏めてとは…
後ろには少年がいる
彼を守りながら戦うか、それとも―
そう考えている間に三体の内、一体が突然頭から倒れる
倒れた敵の影の先―トンファー男が殴った直後という感じに、着地していた