第11章 第11層~第20層 その3 "事案"
様々な足場を飛び移り、最上の位置に私達は辿り着いた
目の前にはボスの巨大な顔
醜悪、ではないが私達に敵意を持った顔
その瞳が私の視線と交差する
巨大で、人でない何らかの意思におののきかける心を奮い立たせ、剣を構える
直後、横薙ぎに襲い掛かるボスの剣
ブーストをかけた跳躍で、上空へ回避―着地直後、足場の端まで走り、敵に向かって跳躍
「おおぉぉぉぉ!!」
正面への勢いをそのままに、敵の眉間に剣を刺す
すぐに抜いて、その場で斬る、斬る、斬る―
左から反撃の剣―
当たる訳にはいかない、その一念で私は敵の眉間を蹴り、下へ落下する
だが、ただただ落下する訳ではない
落下開始直後、剣を敵に刺す―私が落下し始めた事による重力で、剣は敵の身体を切り裂いて落ちるが、それ程しない内に停止―頭上を敵の剣が通り過ぎる
「さっきのお返し…してやろうじゃないの!!」
剣が通り過ぎた直後、上でミヤの声
空中をユウと共に跳躍していくのが見える
同時に垂れてくるチャクラム―エリーが手を伸ばしている
私は剣を抜いて、ボスの身体を無理矢理登る
登ると言うには値しない程の足掻きの後、ブーストをかけて跳躍―チャクラムを掴む
直後、高速で巻き取られるチャクラム
足場まで急速に近付いていき、エリーの手に届く
足場に戻った直後、周りを見ると中々に混迷としていた
今いる足場にはエリーと私のみ
ミヤとユウは部長と合流し、近くの足場で杯持ちの腕にダメージを与えている
シンジ先輩、ケンタは足場を移動しながらボスの剣を誘導している
攻撃か合流か―私に生じた一瞬の迷いを見逃さぬが如く、敵は杖をこちらに向けて来た
直後、杖から現れるは寒気―それが氷の弾丸となり、私とエリーへ降り注ぐ
「っ!」
単純に避けた方が早い
その判断の元、私とエリーは右にある別の足場へ跳躍―それまでいた足場は氷の雨と言うべき攻撃により破壊されてしまった