第11章 第11層~第20層 その3 "事案"
「…あら?」
崩れゆく足場に一番呆けた顔をしているのは当のケンタだ
本人はアレは何だろうか、と言いたげな目であるが、答えは一つ―足場が崩れたのである
「もしかして俺…やっちゃった?」
ノーコメントで通してやりたい所だが、そうもいかない
間違いなく足場が崩れた―攻撃に必要なものを失ったのだ
「まぁ、君のオチは流石って言っておくよ」
今はこれだけで良いとばかりに、ユウはミヤを立たせながら、口を開く
「さぁ、部長達と合流しに逃げるよ」
そう言って走り出す二人に私は着いていく
ケンタは「ちょ、待てよ!」と言いながら、私の後ろを走り、部長達の元へ急ぐ
走りながらボスの方を見ると、空中にある足場での激戦が目に入った
足場を崩されぬよう剣を誘導しながらの戦闘
盾は炎を纏い、防御だけでなく攻撃にも使われている
徐々に攻勢を強めるボスに対して、徐々に撤退、交代の頻度が増えている
「皆!」
声がした方向に振り向くと部長、シンジ先輩、エリーと合流する
三人共無事なようで何よりだ
「交代が激しくなってる。俺達も上に行こう」
部長の言に頷いて答え、全員で近くの足場を目指す
この間にも足場は幾つか破壊され、崖の向こうではなく、地上へ降り注ぐ巨大な弾丸となっていた
それらとボスの攻撃を回避しながら、漸く一番下からでも届く足場を発見―ブーストをかけた跳躍を用いて、上へ上へと昇っていった