第10章 第11層~第20層 その2 "Duet"
まずは一体―
αが砕け散ったのを見て、βへ向き直る
βそのものは人気の余りない所へ飛んだのか、今も健在ではあるが牽制とばかりに放たれた数々の遠距離攻撃に曝されている
今だ―全員がそれを感じ、一気に雪崩れ込もうかという時―βの身体が光を纒いだした
何事かと、今度は全員が一瞬止まる
その一瞬に大きな変化―
光を纏ったβの隣に何かが結晶のようなものが集まり、再構成されていく
全く同じ輪郭、色が暗い黄色に違うだけのαが再び姿を現す
「なっ…」
そんな呟きを上げたのは誰だろうか、それが気にならない程に私はこの事態にこう感じていた―どういう事だと
見たままの状況―αが復活し、βの隣にさも当たり前の如く並んでいる
先程倒されたという事実が無かったかのようだ
当然HPバーも最大の状態でその場にいる
これだけでも十分な事態であるにも拘わらず、それだけでは終わらなかった
βのHPバーも最大に回復している
つまり、初めてこの二体に分裂した時に戻ったという事である
やってくれた―
こうなった条件だとかを考える前に、現状に対して心の中で悪態を吐くが、どうやらそんな暇は無いらしい
再び二体となった敵が、先程よりも速く跳躍し、空中にいながらにして、熱線をそれぞれ放っていく
熱線が抉るコンクリートの量は、先程よりも多く、同じ足場にいた全員が違うビルへ回避した直後、一棟沈ませられた程であった