第10章 第11層~第20層 その2 "Duet"
ボスか―
瞬時に思考が働き、そちらへ向かう
建物と建物の間を跳躍して着いた先には人の数倍の大きさの敵
三つ目の仮面のような顔、流したてのコンクリートみたいな色の身体、何故か常時上を向いた二本の腕
またよく分からないものをボスにしたものだ、と思っているとボス側にHPバー、そして名前が現れる
Israfel―イスラフェル…とでも読むのだろう敵は私達を認識すると、部隊の真ん中を割るかの如く飛び掛かる
今回私達はすぐに当たる訳ではない
故に後ろに跳躍して、今いる建物の端に下がる
代わりに最初に当たるのはセガールが直接率いる部隊だ
真横から来る彼等にボスも対応し、腕を用いて攻撃を繰り出しているがセガール達も負けてはいない
複数の攻撃パターンを同時に使っている訳ではないし、彼等も極端に少数ではない
セガール率いるギルド「沈黙淒艦」も今や二大勢力の一つだ
数と連携を頼みに上手くボスの攻撃を捌いている
このまま何事も無いボスであればいい―そう願った時、意外な事態が起きた
セガールの持つ片手剣―ボスの真上から武器スキルを伴って放たれた一撃が、ボスを真っ二つにしたのである
「ファッ!?」
「……え?」
二、三度目を擦って確認をするがやはりボスは真っ二つだ
これは一体どういう事だ?
当のセガールも呆気に取られている事態になったが、空間がまだ元に戻っていない
(つまり、まだ戦いは…)
―終わってない