第10章 第11層~第20層 その2 "Duet"
敵の強さ、自分達の強さ―それらを考えながらゆっくり鍛えている事数日
誰かがボス部屋を発見したらしく、会議開催の報が届いていた
その後開かれた会議―というより最早ヒント公開と言える場ではまたも謎のヒントであった
今回描かれていたヒントは"二つに枝分かれした上半身を持つ一つの下半身"であった
正直ヒントが毎回何を指しているのか分からない
ただ、私はこれのヒントを知らされた時、昔外国の何処かでそういう"奇形"として生まれた双子がいたな…と思い出した
彼等だったろうか彼女等だったろうか、ともかくそんなものを想起させるヒントだった
翌日―
ボス部屋へと向かう途中
相変わらず私達はそこへ向かい列を成す一団の中にいた
列の中はある程度の緊張感が保たれているものの、始めの時の様なものは感じない
周りからは煩くはない程であるが、様々な声が飛んだり、時には笑い声も聞こえてくる
そしてそれらは、私の身近な所からも聞こえていた
「……ねぇ」
「何だい?」
口を開くのはミヤ―隣を歩くユウがそれに答える
「材料も揃ったし、そろそろ新しいレシピにチャレンジする頃合じゃない?」
なるほど、ミヤの料理スキルの話か
ミヤは暇を見ては、少しずつそれに挑戦している
尤も、数をこなさなくては良いものが出来にくいらしく、まだまだ変なものが多いのが現状ではある
そういう現状である上でチャレンジという事は、次に出てくる単語は一つ―味見である
「言っておくけど、この前みたいな謎の物質は口にしないよ」
"ゲーム"、"味見"―これら二つから生み出される苦しみを既に味わったのかユウはピシャリと言葉を紡いだ
彼の言に対して、ミヤは「む…」と言いながら膨れる
「しょうがないじゃん。だったら自分でやりなよ」
「現実じゃ僕の方が作ってたけど」
この言にぐうの音も出なくなったのか、ミヤは膨れたままユウの脇腹に拳骨を軽く入れていく