第10章 第11層~第20層 その2 "Duet"
空間が元に戻る
これで、十二層クリア
緊張状態から解放され、安堵の溜め息が漏れる
本格的に二桁の層に入ったが、まだまだ勢いは衰えていないようだ
油断は出来ないが、今は一山越えた事に喜びを表しても良いだろう
先程までボスがいた方を見ると、部長とシンジ先輩が視界に入る
ジンはどうやら既に次の層に行ってしまったようで、その場にはいない
心の内で彼の協力に感謝しながら、私達オリジナルセブンも次の層へ向かったのである
十三層―
中心となる街、キカワサは海辺の遺跡とも言える街だった
白塗りの建物がひしめき合うように並び、幾つもの細い道を作り出している
写真で見た地中海の街の様相に似ていて、美しさに満ちている
そんなこの層のフィールドは浸水した都市である
浸水…と一言に言っても幾つか状態があった
一つは、自身の身長以上に浸水している状態―これはいつかのボス戦と同じで入る事そのものに危険が伴う
水中には普通に敵がおり、平気で襲ってくるが我々プレイヤーは水中故上手く動けない
その上酸素量というゲージが一時的に現れる
酸素量が無くなったという話は今の所聞かないが、無くなった結果等分かりきっているし聞きたくない
とりあえずそれらを踏まえると、酸素を無くさずに敵の攻撃を掻い潜らなくてはならない
幸いな事にそういう通路には大体スイッチがあり、それを起動させると水位が下がって通行が可能になる故、落ち着いて辺りを探せば何ともならない
もう一つは、中途半端に浸水している状態
通路によって多少差異はあるものの、足首から最大腰辺りまでである
幸い酸素量のゲージは出ないが、そこは一応の水中だというべきか動きがかなり鈍る
足首までくらいの浸水でも、かなりの水を掻き分けている為、移動スピードが落ちる事は必至
こういう場合の方がむしろ危険であるというのは最早典型だ
故に私達は焦らず、しっかりと準備を整えてから動いていた