第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
「心外だな、これでも頑張って格好良いのを考えてるのに」
「お前の格好良いは、こっちにとっちゃ恥ずかしいんだよ!!」
私達が唖然とする中、先輩二人の漫才が続く
いや…ネーミングが中二病って…
「まさかそんな―」
そんな漫才を聞きながら、それは無いだろうという考えに私は至る
だが、その時出たボヤきにシンジ先輩は素早く反応した
「お前等知らなさそうだから言っとくがよ、このキョウヤって野郎はな……いつぞや美術で作った自分の作品に"エターナルフォースブリザード"って付けたんだよ!」
「悪くないだろ、"エターナルフォースブリザード"」
「単なる冬景色の絵がどうしてそうなるんだ!!」
あぁ…うん…これは…
(中々…かもしれない…)
単なる冬景色がそうなるのなら、あり得る…かもしれない…
まさか先輩に対して頭を抱える日が来るのか、と葛藤している間に部長が素早くウインドウに文字を打ち込んでいく
シンジ先輩がそれに気付き、「オイコラ!」と言いながら止めようとするも時既に遅し―部長はそれを入力し終えてしまった
「残念だったな、シンジ」
「テメェ…」
笑顔の部長に対して、血涙を流しかねない表情のシンジ先輩
その表情からこれまでに様々な出来事があったのだろうと察せるシンジ先輩に、部長は笑顔を崩さぬまま続けた
「まぁ、今回はまだマシなものの筈さ。シンジからしてもな」