第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
部長の槍は敵の後ろの地面に突き刺さり、私敵の目の前に着地
私は敵に背を向けていたが、勝ったという確信と、感触を得ていた
そのまま乱れた髪を一度、手櫛で鋤いて整えると同時に敵が断末魔を上げ、砕け散る音を耳にする
これで本当に…終わり
目の前に目標の敵を倒した事を知らせるメッセージウインドウが現れるのを確認しながら、漸く一息吐く
それは強い敵を倒した、という事以上に何だか壁を一つ越えたような気分になった故のものだろう
頭の中の引き出しが、スッと戻るのを感じながら、周りを見る
生き残った、七人全員
単に敵を倒しただけでは得られない、大切な人達―そして、私の新たな願い
その存在をしかと胸に刻みながら、全員で帰路に着いた
帰路中―
例の老人にクエストクリアを報告しなくては、真にクリアとは言えない
その為、ある意味油断ならない帰路ではあるが、一つ気になる事があった
「そういえば、ギルドを作るって言っても…どういうギルドにするんですか?」
私のこの疑問に、部長は軽く目線を私に向けながら口を開いた
「元々、皆の連帯感の為に流行りに乗っただけでさ。だから、大きくしてどうこうってのは考えてない。まぁ、後の細かい所はちゃんと考えてあるから、出来てからのお楽しみってな」
「はぁ」
という事は正式にギルドを製作して、そこで方針を宣言するのだろうか
まぁ、それならば後の楽しみ的に取っておいても損はない
そう思う私の前で歩くシンジ先輩が、何となく怪訝そうに部長を見ていたような気がしていたが、私は気にする事なく歩いていた