第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
敵は大きく滑りながらも、なおもしっかりと立っている
その頑強さはこの戦いで幾度となく見せられたが、改めて舌を巻く程だ
だが、今の私達はそんなもの砕ける筈だ
「おうともよ!テメェなんざ、もう相手じゃねぇってな!行っくぜぇぇ!!」
「ケン、合わせるよ!」
上半身の体勢を直した敵に次の行動をさせまいとケンタ、ユウの二人が同時に跳躍する
ブースト、武器スキルの二つを伴った二人の攻撃は真っ直ぐに、真上から敵の胴体を切り裂く
「便乗だ、行くぞミヤコ!!」
「了解了解ぃ!!」
敵が怯んだ動きを見せた時にシンジ先輩、ミヤが素早く敵の斜め後ろへ回り込み、それぞれの方向からブースト、武器スキルを伴って敵の胴体に深く突き刺す
「やれキョウヤ!!」
「あぁ!!」
シンジ先輩の声に部長が応え、槍と腕に光を纏う
ケンタ、ユウの両名が下がった瞬間に、部長は光を纏った槍を―真っ直ぐに投げる
普段よりも高速で飛んだように見えたそれは、見事敵の腹に命中し、深く刺さった
後は私とエリー
やる事は―分かってる
「エリー!!」
呼び掛けた時、既にエリーは跳躍しており、私の右手にチャクラムを巻き付けていた
チャクラムに倣い、私も跳躍する
狙いはただ一つ―"破壊のカリスマ"
その為にエリーは空中で回転、同時にチャクラムを高速で巻き取る
空中で勢いのつく私の身体―だが、制御は私とエリーなら出来る
チャクラムがギリギリになる時、エリーが思いっ切り身体を捻り―
「行っっけぇぇぇぇぇ!!!」
―私を発射する
いつぞやケンタでやった事の応用―そして後は、私だ
目の前にはただ一つ"破壊のカリスマ"
その腹に刺さった槍を目掛けて、空中で体勢を変化
右足を伸ばし、蹴りの体勢へと入り、後は勢い任せに―蹴るのみ
「せぇぇぇぇやあぁぁぁぁぁ!!!」
ブーストも何もない蹴り
しかし、それでも真っ直ぐに敵へ向かった私の足は、吸い込まれるように槍へ向かい―シンジ先輩、ミヤが離れた直後、命中
「うぅぅぅおぉぉぉ!!!」
槍を押し込むように更に勢いを加える
私達を苦しめた敵の硬い表皮が、少しずつ歪み、槍を受け入れ―蹴りの胴体への命中と共に槍を貫通させた