第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
長い眠りから覚めるように目を開くと、すぐ近くに誰かの身体があった
それはすぐに誰か分かった
私を一人で独りにさせまいとする少女の小柄な身体
私の上に乗る形でいる身体がずれて、顔が私の視線の先に映る
「エリー」
誰と言わなくても分かる
一見無表情に見えるが、その実誰よりも私を思う少女
「リリィ、戻った?」
不思議な質問だ
しかし、その意図は分かる
しっかりと頷いて、それに答える
「うん…ありがと」
いつの間にかエリーの背中を抱くように置かれていた手が、離れる
それでも今はもう、大丈夫
エリーは安心したのか一息吐くと、身体を私の上からどかした
それに倣い、私も身体を起こす
近くで"破壊のカリスマ"と戦っているのを見かける
そしてその手前に部長
弾かれたのだろうか、部長は私の前に落ちている槍を取り、直後私に手を差し出した
「どうやら、何とか伝わったみたいだな」
エリーだけではない、部長も私に呼び掛けてくれた
部長の言葉で、それを察する
ならばそれに応えよう
私は部長の手を取り、立ち上がった後しっかりと部長を見て、ハッキリと口を開く
「はい。もう…私は大丈夫です。皆と一緒に、生き残ります」
宣言にも似た私の言に部長は「そうか」軽く微笑み、敵―"破壊のカリスマ"の方へ向く
「なら、まずは目の前の敵を倒して、皆で生き残ろう」
そう言った直後、向こうで戦っていた皆が敵から離れ、私達の元へ集まってきた