第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
「遅いお目覚めだな、リリィ」
集まった直後、シンジ先輩が口を開く
それはまだ敵を見据えたままの言だったが、何だか不思議と認めるしかないような気がしていた
「ま、良いんじゃないんスか?真打は最後なんだから真打なんだし」
「ケン、それだと君は自分が脇役だと認める事になるけど良いかな?」
「何はともあれリィちゃん復活だし、ちゃちゃっと終わらしにかかった方が良いでしょ」
三者三様、好き勝手言っているのに何故か笑ってしまう
後で考えれば、また意味が変わってしまうかもしれないが、今はこの軽口が気遣ってくれた先の言葉だと思えると悪くない気分になる
部長が改めて槍を構え、敵を見据えた上で口を開く
「さぁ皆、ミヤコの言う通りにさっさと終わらせて、皆で帰るぞ……リリィ、行けるな?」
軽く視線が私を向く
当然、とまではいかないが、今の私なら出来る気がする
「はい、大丈夫です」
故に私は、こう答えるのだ
「じゃあ皆!作戦とか動きとか、その都度自分で考えてくれ!」
私の答えの直後の部長の言に私は拳を作って応える
敵の攻撃を喰らった時に何処かへ飛んだのだろう
だから今の私には拳―体術しかないが、それで十分だ
そうして、不格好ながら構えた時―部長が聞き慣れ始めた、あの合図を出した
「それじゃあ……スタート!!」