第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
敵の後ろを完全に突いた形で飛び出したのは部長
跳躍分を利用して一気に距離を詰め、更に槍を刺そうと敵に向かう
敵の注意が私に向いた隙を突くには完璧な瞬間、完全な瞬間―そういう一撃である筈だった
敵はこれにも気付き素早く対応した
流石に迎撃という訳にはいかなかったようだが、瞬時にターゲットを切り替え部長の槍を抑えたのである
「まだまだ!」
部長が抑えられた瞬間、更に飛び出す影―ユウだ
ブーストスキルを伴い、脇から敵へ一撃を与えようと駆ける
しかし、敵はまたしても反応を示した
目の色を今度は青に変え、部長を蹴って後ろ宙返りになるような跳躍―その勢いのままユウを蹴って二人から距離を取るように跳躍した
敵の着地後、またも武器の形態変化が起こる
ボウガンが棒の両端に刃の突いた長物―双刃剣に変化した
なるほど目の色で武器と戦闘スタイルが変わるのか、漸く理解する
しかし、それを理解した所で状況の悪さは変わらない
むしろ今までの敵やボスよりも多才で、苦戦を強いられる
今の敵は双刃剣を構えながら、私達を見ている
距離を見極めながら戦うカウンターファイター状態だろうか
そういうこちらも見極めに入っている
「だったら…距離なんざ考えさせん!!」
敵の横、幾ばくかの距離にいたシンジ先輩がブーストをかけて走り出す
しかし敵はこれに敢えてだろうか、向かったのである
先の部長と同じ要領の跳躍分を用いた、空中からの一撃
当たればどちらかはダメージ
しかしそんな状況に横槍が入る
木陰の奥からミヤが飛び出し、敵へ向かって跳躍する
先のエリーと逆の状況
今度は敵が空中で思うように動けぬまま、ミヤの短剣に刺される
それは重力任せに、敵の脇腹を抉り、斬り抜く
そのダメージか勢いが弱まり、双刃剣はシンジ先輩に払われるが、敵そのものはシンジ先輩の更に越えた位置に着地した