第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
目の色が変わったくらい―と無警戒な訳は誰も無かったが、次の事態にも驚かざるを得なかった
先程まで剣であった敵の得物が、突如ボウガンに変化したのだ
ストレージで入れ換えたとかではない、完全な形態/性質変化
それが起きたのだ
敵はそのままエリーに向かってボウガンを数発撃つ
自分と敵が繋がった状態であるのが、仇になったかエリーは側方宙返りと言える動作で弾丸を避けるが、それもまた彼女にとって仇となった
宙返り―つまり彼女が完全に空中にいる間に敵はチャクラムに繋がれた腕を引き、無理矢理エリーを自身の側に寄せる
エリー本人は急に自身に掛かった重力に身体を持っていかれながらも体勢を直したが、ここは敵の方が速かった
ボウガンによる追撃
直前の体勢直しのお陰で胴体への直撃は避けたものの、右肘から先が欠損状態となってしまう
そのまま敵はエリーをボウガンで横に殴り、吹き飛ばし、転がす
そしてゆっくりと巻かれたチャクラムを外した
どう対処すれば良い?
私の思考はそこに支配されていた
今までの中で恐らく最も強い
これまでで全くと言って良い程、私達は有効打を与えられていない
それでいながら、向こうはこちらへダメージを与えている
非常に宜しくない状況だ
敵は次に私に向けてボウガンを放つ
当たる訳にはいかない、当たってはならない―その考えが私を走らせた
射線から逃れるように横へ走る私を、連続射撃で追い詰める敵
その後ろから急に影が蠢いた