第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
着地からまた敵に安定した状態を与える訳にはいかない
そう思い剣を改めて抜いた時、またあらぬ方向から敵に向かって攻撃があった
敵の肩に刺さる矢
木陰から左手だけで矢を投げるエリーを視界に捉える
右腕は相変わらず肘から先が失われており、本人も痛みに顔を歪めているが構わずもう一本取り出し、また投げる
敵はこれに対応しようと目の色を緑に変化させ、指で飛んできた矢を挟むように受け止める
片手の無いエリーを危険に曝す訳にはいかないと、私はその場から敵へ鎌鼬を飛ばす
飛ばした直後、敵は鎌鼬に気付き、一瞬で紫の目に変わり、剣に変化した武器で鎌鼬を抑え、それを叩き斬った
「―っぉ!!」
私は構わず二撃目、三撃目を飛ばす
それすらも防がれ、自然現象を斬られるという事態に直面するが、それにも怯まず私は鎌鼬を飛ばしていく
次第に敵が攻撃を防ぎながら、悠然とこちらへ歩き始める
その距離は少しずつ近くなり、私を圧迫していく
鎌鼬の連撃速度も前より上昇しているにも拘わらず、その全てを捌かれていく
そして、遂にその距離が剣の持つ本来の距離になろうかという時、私と敵の間に槍が割って入る
槍の現れた方向―視線を送ると投げ終えた体勢の部長、そして跳躍し、既に攻撃体勢に入ったケンタが視界に入った
敵はやはりというべきか、目の色を青に変えた
先と同じように蹴る事でケンタを飛ばそうと跳躍しようとするが、今度はその通りにはいかなかった
跳躍しようとする敵の身体にチャクラムが巻き付き、敵を拘束する
ここに来て動きを制限された敵は、予定の動作が出来なくなった―ケンタの一撃を成す術無く受けたのである