第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
十層フィールド、と言ってもそれは広く幾つものエリアで構成されている
その中から限られた一体を探すのは流石に大変である
与えられたヒントは敵の抽象的な名前と目的の敵が近付くと光るという水晶しかない
故に私達は仕方なく、しらみ潰しに一つ一つのエリアを回っていく他無かった
浜辺、工場、地下下水道施設と様々なエリアの端から端まで歩き回り、たまに襲ってくる敵を払いながら"破壊のカリスマ"という敵を探す
そうして進んだ次のエリアは、所謂雑木林であった
鬱蒼と茂るそれは日の光を遮り、現実の私にもまだ適応出来る明るさであった
そんな薄暗い雑木林を進んでいく内に、水晶がぼうっと光りだしたのである
「―!」
驚いたのは私だけではない
敵が近くにいるのだ、全員に緊張が走る
何も言わずとも武器を構え、周りを注視しながら光に従って進む
何処だろうかと探していると、一つの影を見つけた
人間大の大きさにも見えるそれを、最初はプレイヤーだと思っていた
しかし、近付くと水晶の光が増していく
それに良く見ると、人とは違う形をしている
つまり―敵だ
それも大当たりの"破壊のカリスマ"だ
木陰から敵を窺っていると、その姿がより見えてくる
成人男性よりも高い背丈、顔―というか鼻の辺りが変に盛り上って、それが頭の上まで伸びている
まるでカブトムシを人間の形に押し込んだみたいだ