第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
暫く―体感時間で数時間と思っても良いくらいの長話の最後、漸く若かれし時の老人と仲間がボス的な敵を倒した所で部長がアイテムを受け取っていた
見た目はただの水晶というそれは、これから私達が倒す敵に反応して光るらしい
やっと終わりか―という思考に呼応するかのように、目の前にウィンドウが現れる
『"再び集いし勇者達"を開始。"破壊のカリスマ"を倒せ』
今までも戦いのように思われるが、それは間違いで今が始まりなのだ
まだあるのか…という感覚が頭に浮かぶが、ここからが本番だと面倒がる思考を追いやる
そう、ここからが本番だ
しかし―
「"破壊のカリスマ"…」
いかにもと言った名称だが、これが敵の名前ではあるまい
しかしこれでは訳が分からないままだ
誰もがそれを感じていたのか、いつの間にか部長が何処かとメッセージを取り合っていた
それ程時間もかからなかったそれに、部長はとりあえず一息ついた
「どうした、キョウヤ?」
そんな部長にシンジ先輩が疑問を投げる
部長自身は「あ、いや…」という感じで口を開いた
「ネリーにこのクエストについて聞いてみたんだ。既に幾つかギルドが出来てるから、どんな情報があるかと思ってね」
「で、結果は?」
続けて投げられた疑問に部長は頭を掻きながら続けた
「十層フィールド内にいるネームドを倒す。これは変わらないみたいなんだけど…どうやら倒すべき敵はランダムで決められてるみたいなんだ。しかも"蘇った水の使者"とか"○×△の王"とか抽象的にしか教えられない」
なるほど、だから水晶を使って適切な敵を探せと
そう納得していると部長は「それで…」と更に付け加えた
「俺達がこれから倒す"破壊のカリスマ"。これはまだデータ無し。もしかしたら俺達が初めてかもってさ」
どうやら不運な事になったようだ
しかし、やる事は変わらないからある意味気が楽かもしれない
そう私は思いながら、他の面子と共に第十層のフィールドへ足を運ぶのであった