第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
向こうはまだこちらに気付いていないのか、通常の敵と同じように辺りを彷徨いている
今なら先手を取れそうだが…どうするのだろうか
部長を見ると同時に、部長はゆっくり口を開いた
「シンジ、リリィ、ミヤコ。最初はこの三人だ。次に俺とユウ、ケンタでやる。エリーは後ろから頼む」
そろそろ役割が確定してきたと感じる布陣
しかし理にはかなっている筈だ
私を含めた三人が、駆け出す準備の体勢に入る
「……スタート」
静かな部長の掛け声をキッカケに私を含めた三人が、木陰から飛び出す
私達に背を向けたままの敵目掛け、真っ直ぐに走る
シンジ先輩と私で脇を斬った後、ミヤが刺す
このプランでまずは大抵どうにかなる
しかも完全に先手を取ったのだ、優位は取れる
そう考えて走っていたが―
寸前で斬れる、という時に敵が急に振り向き私の目の前に太い腕が現れた
急に現れたそれに対応出来る暇も無く、腕に当たり、首を支点に身体が地面に落ちる
勢いを付けたまま地面に落ちた私の身体は、衝撃と共に息を強制的に吐き出した
一瞬見える横の視界にシンジ先輩が同じように落ちるのが見える
「なっ―ぉぐっ…」
すぐ近くから別―ミヤの声が一瞬聞こえ、潰れた
視界に訪れた瞬間の明滅が終わり、次に見えたものは―吊り上げられたミヤ
片手だけで顔を抑えられながら、吊られている
ミヤは手足をばたつかせ、抵抗するがまるで意味無しとばかりに敵はゆっくりと空いた手で拳を作りながら、口を開き、音を発した
『ゴセパ ザバギンバシグラ ゴ・ガドル・バ ザ!!』