第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
第十層―
再び踏み入れたこの土地は、少し前よりかは活気が減ったが、まだまだ多くのプレイヤーがいた
彼等の大半はボス戦にあまり参加しないプレイヤー達である
リスクの高いボス戦を避けながらも、先に進む事を選んだプレイヤー達は、思い思いのペースで進んでいる
そんな彼等の中を通り過ぎ、私達はこの層にいるというギルド作成クエストを受けるキッカケとなるNPC目指して、街の中を進んでいった
「そういえば、ケン」
相変わらずの常夏ぶりを発揮する街を歩きながらユウが口を開いた
「君の釣り伝説はどうなったんだい?」
この質問に問われたケンタは肩を飛び上がらせた
そういえば第十層ボスを倒した時に、自分の釣り伝説が云々と叫んでいた筈だったような…
余りにも清々しい豪語だったので、妙に記憶に残っているそれを思い出しながら、中々答えないケンタに視線を移す
「…………うるせぇやい」
始まらなかったようだ
まぁ、そんな事だろうと思ったが
それから私達は更に街の中を進み、漸く目的のNPCを発見した
見た目はただの釣りをしている老人である彼がキッカケらしい
早速私達はクエスト受注の為、このNPCに話しかけたのだが、そこからが長かった
どうやらこのNPC、その昔は冒険者であって仲間と共に旅を続けて云々というありがちな設定の人物であった
そしてありがちな事に、話が長い
中身が昔話しか無い上に、老人が子供の時から話すので私達はボスでもないのに我慢を強いられる羽目となったのであった