第2章 第1層~第10層 その1 "旅の始まり"
白い―白い白い白い
鏡の中の私は、現実世界の私
未だ信じられず、腰まである髪を顔の前に持ってくる
やはり…白い
アルビノという個体を知っているだろうか
漢字で書くなら「白子」というこれは、先天的に色素構成機能が欠落した為に起こるものだ
白い姿に赤い目の兎がその代表例であるこれは、人間にも稀だが見られる
そして、私はその稀なケースだ
その為幼年期から様々な人々から奇異の目で見られ、お陰で内向きの趣味ばかりが揃った
流石に高校まで上がれば、気にしない人も出てくる訳で、そんな人が多かったコンピューター部に所属した
尤も、皮膚の弱さや見た目の都合上あまり外には晒したくない
だがゲーム内とは言え、今私の正しい姿が惜し気もなく晒されている
いつもの様に隠す方法もない
「気に入ったかね?諸君等の姿を元に戻させてもらった」
蛇がまた言葉を紡ぐ
周りを見ると、またも混乱状態となっていた
…心なしかさっきよりも男が多い気がする
大方、ネカマがバレたのだろう
自身の見た目が変わった事に驚きながらも、こんな推測が出来る辺りまだ私は多少冷静らしい
「人の生き様…魂とは、その人物本人でなければ表せない。許されよ諸君、これは諸君等の魂の為に必要な事象故に行わせてもらった。諸君等が諸君等自身でこの世界を進むと信じる私からの、激励である」
こんなに歪んだ激励も信じるという言葉も聞いた事はない
間違いない、彼は珍妙等ではなく気が触れた人物だ
「これにて私の第一の介入は終了である……健闘を、祈るよ諸君。ククク…クハハハハハ……」
そう笑うと蛇は自身の出所である、幾何学模様へと消えていった
私達、全プレイヤーは始まりの町―このゲームに、真に取り残された