第8章 第1層~第10層 その7 "一区切り"
空中でもう一度跳ねるように飛ばされたボスに素早くエリーが反応する
側転の要領でボスを回避しながら矢を撃ち込み、ダメージを与えながらボスを見送る
勢いのままボスは船の反対側から落ち、派手な水飛沫を上げた
中途半端に水面から顔を出すボスにエリーがすかさず追撃の矢を放つ
連続で放たれたそれは見事、全てボスに命中しボスの肉体に刺さったが、ボスのHPバーは減らなかった
「嘘…」
その事態に驚いた私の呟きも伝わる前に、もう一度船が揺れた
先程よりも大きく揺れた船は、揺れるだけではなく少しずつ傾き始めたのである
まさか…沈む?
「マジかマジかタイタニックか!?」
上向きになる方へ必死に進むケンタの声を聞きながら、私も同じように食らい付く
落ちればそこはボスの独壇場―このまま落ちる訳にはいかない
徐々にキツくなる角度に挑みながら、足を動かしていると視線の先にもう一隻、船が近付いているのを見る
一か八か、それでも良い―そう感じたのか、幾人かのプレイヤーが今いる船を捨て、近くに来ている船に跳躍して渡っていった
落ちたくないと感じた私も同じように跳躍―脚力ブーストを伴って跳ねた私の身体は新たな船の甲板で派手に転がりながらも、落ちる事なく立ち上がる事に成功したのであった